
近年、疾病構造の変化、高齢者の増加、ストレスの増加などによって西洋医学には限界があり、漢方医学の価値が再認識されるようになってきました。
西洋医学は病気の原因を分析し、その原因に対して作用する薬を処方するのに対して漢方医学は患者の体質、症状を総合してそれに対応する治療法を決定します。すなわち、西洋医学は疾患を重視する「病気を見る医学」であり、漢方医学は「病人を診る医学」であると考えられます。また、西洋薬は化学合成して作られておりほとんどが単一成分で作られています。これに対し漢方薬は原則、複数の生薬から作られているので1剤の中に多くの成分が含まれています。そのため西洋薬は1剤で1つの症状にピンポイントに効くのに対して漢方は1剤で複数の症状に効くことが多いのです。
(1)できる限りお湯に溶かして服用する
(2)症状や漢方薬の性質を考慮する
(3)一般的に食前、食間に服用する
漢方薬は西洋薬に比べて安全性は高いと言われていますが、肝障害など重篤な副作用も毎年報告されています。その背景には西洋医学との併用、高齢者に対する処方頻度の増加、使用方法の変化などがあります。例えば抑肝散は、もともとは乳児の「夜泣き」、「疳のむし」に効果があるとされてきました。しかし、現在の使用目的は認知症における周辺症状(妄想、徘徊など)を和らげることであり、抑肝散を服用する方のほとんどは70歳以上の高齢者と推定されます。
○甘草による偽アルドステロン症
偽アルドステロン症は漢方薬において報告件数が多い副作用の一つで高血圧、低カリウム血症などを主症状とし悪化すると不整脈や横紋筋融解症(骨格筋細胞が壊れて細胞内成分が血中に流出し、手足の脱力、筋肉痛などの症状の他、尿の色が赤褐色になり腎障害を起こすことがある)に至ります。この副作用は甘草という生薬が含まれる漢方薬によって起こる可能性があります。甘草の主成分であるグリチルリチンが関与しており、ナトリウムが体内に溜りカリウムが体外に排出されることで高血圧、むくみが症状として現れます。そのため、グリチルリチン酸を含む製剤やカリウム排泄促進作用のある利尿薬と併用する際には注意が必要です。
○麻黄による交感神経興奮作用
麻黄の主成分であるエフェドリンによるものと考えられています。エフェドリンの化学構造がアドレナリンに似ているため共通の作用があることに起因します。その作用とは交感神経刺激作用、中枢神経刺激作用です。具体的には、興奮、血圧上昇、動悸、頻脈(心拍数の増加)、発汗過多、排尿障害などの症状が起きる可能性があります。狭心症や心筋梗塞などの循環器系疾患、高度腎障害、前立腺肥大症の人は症状を悪化させる恐れがあるため注意が必要です。
甲状腺機能の低下を補う甲状腺製剤、心不全の治療などに使うカテコールアミン製剤、気管支喘息の治療に使うキサンチン製剤などと併用すると副作用が起こりやすくなる可能性があるため、これらの薬を服用されている方は医師や薬剤師に伝えて下さい。
甘草、麻黄などの生薬に対する反応は人によって非常に差が大きいため、少量で副作用を呈する人もいます。
西洋薬も服用している場合は特にどのような副作用があるのか理解しておくことが大切です。